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とあるヲタの マイペース過ぎる しがない自由帳。趣味や日常でガッツリ語りたいことを書いていきます。

【鉄道部品】京都市営地下鉄 烏丸線 幕式発車標(幕のみ)

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地下鉄烏丸線の駅の発車標といえば、現在LED式の物が使われていますが、開業時からそうだったわけではなく、かつては幕式の物が使われていました。
この幕は、その行き先を表示する部分になります。

下記ツイートの4枚目の写真に、幕式発車標の当時の様子が写っており、どのような感じだったか、このページの幕がどんな風に使われていたか、窺い知ることが出来ます。

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ホーム天井のあの逆台形の発車標の中で、かつてこのページのような幕がグルグルと回っていたわけですね。

この発車標の幕は、京都市交通局の鉄道部品販売で放出されたことも、市場に出回ったことも、これまであまり無かったと思われますが、2022年に入り交通局公式のネット販売にて、何十本にも上る数が大量に放出されました。
幕式発車標が消滅したのはかなり前であろうものが、交通局内によくそんな沢山保管していたなと驚くばかりです。

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今回紹介する幕には「国際会館」(後述) や烏丸御池が入っており、現在の運行形態に近い内容が収録されていることが分かります。
使用期間に関しては、国際会館までの開業が1997年であること、2000年に運行開始した近鉄奈良行き急行が入っていないことを考えると、僅か2・3年程しか使われなかったと考えられます。
烏丸線の幕式発車標自体も、2000年代に入るまでには全てLED式に置き換えられたと推定されます。

本体に触れた感じは、まず、幕には普通の鉄道車両用方向幕よりも分厚いフィルムが用いられており、長期間同じ表示を電照するのに耐え得る仕様なのだろうと思います。
そのため巻いた状態の幕は、内容が少ない割には太く、ずっしりと重みがあります。
また、ホームで行き先を大きく表示するために、普通の鉄道方向幕よりも大型であるため、なおさら重さを感じさせます。

内容はと言うと、幕には烏丸線の全ての行き先が入っており、駅や上下線に関係無く、全線の全ての発車標で共通の幕が使われていたようです。

表示には、記事冒頭の写真のような「調整中」や、「当駅止」(後述) 等といった物が入っており、車両の方向幕とはまた違った、駅の発車標ならではの内容と言えそうです。

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また「普通 新田辺行」の「普通」の字だけ青色が使われており、大部分が黒とオレンジだけで刷られている中で、この部分だけ刷るのちょっと手間だったのかな…とも。

更に「烏丸御池」「普通 新田辺」「国際会館」といった比較的新しめの表示では、それ以外と英字のフォントの違いも見られます。
「竹田行」と「普通 新田辺行」を比べてみると分かりやすいのですが、両者の「FOR」の「F」や「R」の字を比べると、字の形が微妙に違うのが見て取れます。
同じ幕の中に新旧の書式が混在しているというのも、細かく観察してみると見られる興味深い点です。

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そして、この幕で最も驚くべき表示となるのが「三栖行」の文字。
何と、幻の延伸区間の行き先が入っているのです。
烏丸線は竹田から更に南、京阪電車中書島と淀の間付近まで路線を延ばす計画があるのですが、40年以上経った今でも全く実現の気配がありません。
にもかかわらず、影も形も無い幻の延伸区間が、かつての幕式発車標の中では、行き先として存在することになっていたのです。
鉄道部品としても、例えば廃線の部品が手に入るだけでも大したものですが、このように「未成線の部品」を入手するというのも中々のものだと思います。

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なお「三栖行」〜「当駅止」の間は、長い空白となっています。

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そのあとで最後に出て来るのが「国際会館行」の表示。
何故この行き先だけ他の多くの行き先表示とかなり離れた所に加刷されているかは定かではありませんが、見るとシワ・汚れ・傷・僅かな破れ等がやや多く見られます。
つまり、このページの幕は何処かの駅の2番乗り場(国際会館方面ホーム)で使われていた、ということを示しているのでしょうか。

ここまで幕を一通り見て来ましたが、ここで一つ疑問が浮かびます。
幕の表側を見る限り、検知穴もバーコードも見当たらないのですが、幕回しの際どのようにして幕を各表示の定位置で止めていたのでしょうか。
それは幕を裏返してみると答えが分かります。

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裏側を見てみると、銀箔らしき物が規則的に貼られているのが見て取れます。
つまり、これがバーコードの役割を果たしていたのです。
ゆえに、この幕は一種のバーコード式(マーク式)によって、幕の表示位置を制御していた、ということになります。

旧式の発車標といえば、反転フラップ式(ソラリー、パタパタ)がよく話題に上り、そちらは今でも一部の駅や鉄道博物館で動く物を見ることが出来ますが、幕式の発車標は今や動く物は殆ど見ることが出来なくなりました。
地下鉄烏丸線からも消滅して既に久しいため、かつて幕式発車標が活躍していたことを知る人も、少なくなってきているのではないでしょうか。
現在は駅設備としても鉄道部品としてもすっかり珍しい物となった幕式発車標ですが、かつて烏丸線含め各地で活躍した特徴的なシステムとして、今一度思いを馳せてみたり、色々調べてみたり、時に部品を入手してみたりするのも良いと思います。

【備考】2022年1月、インターネット販売にて入手

 

(※この記事はかつてミューゼオで公開していた物を、再編集の上で再掲したものです。)